国道168号の最高地点・天辻トンネルを越えた旧大塔村には道の駅があって、プラネタリウム館や宿泊ロッジも併設されている。
歩き旅を続けるには宿泊もお勧めだが、私は土日の休み2日間を歩き旅に充てて、月曜からの仕事のため一旦帰ることにしていた。
次回はこの続きから。歩きの再スタート地点としてもいろいろな施設があった方が便利だと思った。
新宮発大和八木行きの「第3便」に乗るには少し余裕があったので、道の駅に隣接するレストランで名物のきのこ入りカレーうどんを食べた。
朝採れのきのこは本当に“活き”が良い。
生野菜の様にピンと来ないかもしれないが、「シャキシャキ」感がまるで違う。
山の中の特産というと猪や鹿などのジビエ、川魚、山菜などがイメージされるが、十津川街道沿いではまず「きのこ」を推奨しておく。
このうどん鉢の中の主役もズバリきのこだ。機会あればご賞味を。
14時20分過ぎ、八木新宮線最終の「第3便」が南の新宮・十津川方面から天辻峠を登ってきた。
真後ろに観光バスを従えているのがおかしい。
その後ろには車の列。
坂の途中で乗合バスは停車し観光バス以下もブレーキをかける。
大和八木駅から数えて73番目のバス停「星のくに」でお客様(私)が乗車。
バスが「新天辻トンネル」を潜ると、私が半日がかりでフウフウいって登ってきた坂をスイスイ下っていく。
時々しっかりエンジンブレーキも掛ける。
歩いた後で改めて急なのが分かった。
* * *
約3週間後の2020年3月15日。
私は八木新宮線のバス路線歩き旅を続けようと、津から電車を乗り継いで再び奈良の五条駅までやってきた。
今日で都合3日目だ。
しかし新宮行きの「第1便」を待っていると、前回のゴール地点である旧大塔村の道の駅の到着がお昼前になってしまい、時間をロスして3日目の距離を稼ぐことが出来ない。
そこで五条駅を朝8時過ぎに出発する同じく奈良交通の「十津川線」を利用し、朝9時には天辻峠に到着、続きから出発できた。
ところが後日談があって、紀行文を書くにあたり路線バスのダイヤを確認したら、その「十津川線」が2020年9月で何と廃止されていた!
今後は先述の道の駅「吉野路大塔」に併設のロッジに泊まるというのが正解かもしれない。
HPによると天体望遠鏡付きのコテージもあるそうで、泊まりの楽しみが膨らむ。
大塔コスミックパーク「星のくに」/五條市 (gojo.lg.jp)
天辻峠からの下りはものすごく急だ。
以前反対側から自転車で峠を登ろうとした時は早々にペダルを踏むのをあきらめて、押して歩いた覚えがある。
ヘアピンカーブの先端にお地蔵さんがいる。
3月半ばといっても標高560メートル付近の道路脇の桜のつぼみは硬い。
おまけに明日、峠は雪に覆われるのだった。
坂を下って小1時間。旧大塔村の阪本(漢字をちょっとひねった?)地区にはトンネルの入り口がある。
そう、幻の鉄道路線「五新線」のトンネルだった。
向こうから貫通しているのだろうのか?説明版に何か書いてある。
「大塔コスモ観測所」大阪大学核物理研究センターの地下研究室になっていた。
とんだ転用の仕方があると思った。
大阪大学はどこでこのトンネルに目を付けたのか。
私ならトンネル観測所に一日、いや半日でもこもって研究するのは嫌だ。
ここからは最上流の天川村から流れてくる川、十津川に沿って下っていく。
十津川街道の名のゆえんだ。
工事中の大きな橋脚と道路トンネル工事の予定地を見る。
国道168号のバイパス工事の一環で、完成すればその区間だけでも移動はずいぶん楽になろう。
しかし、「生活路線バス」は必ずしも新しい道を行くとは限らない。
バイパスのトンネルで集落を通過する訳にはいかないのだ。
(第7話に続く)
~“日本一のバス路線” 大和八木~新宮 167キロ+αを歩く~ その⑦ 五條市大塔町 編Ⅱ - kotarosandayoneの日記 (hatenablog.com)
2021年7月25日更新