大和八木から新宮までの「日本一のバス路線に沿って歩く」道のりも全体の3分の2を消化したのだが、のべ4日間分で前段も含めると10話も費やしてしまった。
あと2日分、ゴールの新宮までは桜の季節とも重なったので、関連映像も含めて写真を多めに、文章は「なるべくコンパクト」にまとめようと考えているのだが果たして?
歩き旅の続きは奈良県最南部の十津川温泉からだが、自宅の三重県津市からは一番遠いので、残り2日間で歩き切ろうとしても結局「前のり」する必要があった。
新宮(前泊)⇒「八木新宮線」の始発便(1便)で十津川温泉⇒歩き・・・熊野本宮大社・・・本宮温泉郷・・・(行けるところまで)⇒大和八木発の最終便(3便)で新宮に帰り(泊)⇒また戻って歩きの続き・・・新宮へゴール⇒当日夜に津市に戻るという予定だ。
この辺りはサイクリングやドライブ、熊野三山参拝などで自分にとってお馴染みのコースだが時速4~5キロメートルの「歩き旅」ではまた新しい発見があるかもしれない。
2020年4月3日。春休みの時期、桜が真っ盛りだというのに、行きの列車「ワイドビュー南紀」号はガラガラ。
繁忙期の運行計画通り、車両も1両多くつないでいる。
車掌にお願いして、先頭車両の一番前に席を代えてもらった。
運転席越しの眺めは最高。しかも「奥伊勢」と呼ばれるJR紀勢線「伊勢柏崎」駅近くの桜並木はおそらくこの春一番の見ごろだった。
まるで自動車学校の高速教習か卒業検定の車の様に、運転手の横に運転研修の職員と指導員が乗っている。
先頭車両の運転席には3人だが乗客は私ひとり。
妙な気分で津から新宮までの2時間半はいつもより長く感じた。
新宮駅前の居酒屋もお客はカウンターに私一人。
歩き旅の仕上げの前祝いではないが、いろいろ頼みたくなるような心境だった。
しかしながら翌朝は5時に起きて「日本一のバス」第1便で始発の新宮駅から十津川温泉まで2時間乗車。その道のりを2日間かけて歩いて戻ってくるのだ。
ヒラメや赤貝といった「値の張る」お刺身を頂きながら「普段よりはお酒をやや控えめに」して新宮駅前のホテルの床に就いた。
2020年4月4日(土)晴れ 時々曇り
午前8時前、前回の続き十津川温泉から再スタート。バスターミナル併設の「源泉かけ流し」の足湯に浸かっている時間の余裕はない(本当は浸かりたい♨)
川沿いのソメイヨシノは超が付くほどの満開。
一人旅が申し訳ないくらいの歓迎ぶり。
ウキウキして歩き出したのだが、普通の旅では一番の目的となる熊野本宮大社参拝や本宮温泉郷の温泉に浸れそうにもない。
それどころか、この日はのべ6日間のうち最も強行軍となった。
十津川温泉から熊野本宮のある本宮町(田辺市)までは、古くは「果無(はてなし)峠」の名を持つ難所の峠道。
というのもその区間の十津川沿いは深い峡谷の連続で、とても道はつけられず、昔、馬や荷物を担いでいく人達は川を迂回する山越えのルートしかなかった。
現在でも峠道というと普通は分水嶺を越えていく事が多いが、登って下りても大河が一方向に流れているパターンは珍しい。
私はこの国道区間を「川の峠道」と呼んでいる。奈良と和歌山の県境に歩道はなく、車に注意する。
十津川水系では前回通過した「風屋(かぜや)ダム」に続く規模の「二津野(ふたつの)ダム」があり、「川の峠」のてっぺんからダム湖を見下ろすようになっている。
歩き始めて1時間半後にこの日の最高地点を過ぎたころ、新宮発大和八木行の「第2便」とすれ違う。
ガードレールで保護されているが断崖につけられた道に変わりはない。
ドライバーも途中車を寄せて絶景を楽しむ事が難しいので、自転車(!)で別の機会に走った時の景色や吊り橋なども合わせて紹介したい。
「二津野大橋」はダム湖のゲート前から歩いて約10分、七色の集落に近い旧道の「鹿淵橋」は付近の駐車に困るが、危なくないところに停めて、観光地化されていない手軽な秘境の吊り橋をぜひ楽しんでほしい。
万一の事があるといけないので渡る時は3人以上が望ましい??
【リンク】
(個人様のサイト 橋の歩行時には安全に十分注意してください)
県境を越えると「十津川」は「熊野川(くまのがわ)」へと呼び名を変える。
再び旧道に入り、奈良県七色(なないろ)地区から和歌山県土河屋(つちごや)地区の区間は、山肌一面の桜で独占するには大変勿体なかった。
2020年は春がゆっくりと訪れ、桜も例年より長く、一際美しかった。
熊野川の川幅が広くなると、いよいよ熊野本宮大社のエリアに入っていく。
(第12話に続く)
~“日本一のバス路線” 大和八木~新宮 167キロ+αを歩く~その⑫ 熊野本宮大社~川の熊野古道 編 - kotarosandayoneの日記 (hatenablog.com)
2021年8月15日 終戦の日に更新