kotarosandayoneの日記

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~“日本一のバス路線” 大和八木~新宮 167キロ+αを歩く~その⑩ 十津川村 編Ⅲ

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2020年3月16日。

奈良県橿原市から和歌山県新宮市までの「バス路線」歩き旅はこの日でのべ4日目。

きのう(3日目)のゴール地点の「川津」バス停で下車。

地元の人以外が乗り降りするような場所ではない。

(むしろ、この路線の大半のバス停がそうだ。)

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おそらく熊野古道のどこかを歩いているのだろうと思われただろうが、まさか「日本一のバス」の始発終着を何日で歩けるか試している人間がいるとは思わないだろう。

今日は風屋ダム~村役場~十津川温泉方面へ、雪景色と桜のコラボ。

暑いよりはむしろ少々寒いほうが歩きやすく、30分も歩けば体は徐々に温まってくる。

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十津川村風屋地区

十津川水系の最大のダム「風屋(かぜや)ダム」を見ながら歩く。

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電源開発(Jパワー)による発電用のダムで、1960年に運転を開始した。

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轟(ごう)音上げる風屋ダム(※2018年6月撮影)

道路は発電所に送る送水管の下をやがて潜るが、バスに乗っていると「送水管はこのバスが中を優に通れる太さがあります」とアナウンスされる。

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十津川街道の旧道では、しゅう曲が著しい岩肌を桜と共に見ることが出来た。 

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十津川村池穴地区(旧R168号)

狭い歩道のある長さ987メートルの小井トンネルを抜け、橋の上で村営バスとすれ違ったところで、もう正午過ぎだ。 

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十津川村小井(こい)地区 橋の奥に“我がオアシス”がある

‟行きつけ“の喫茶店で昼食とする。

自転車旅ではいつもインドカレーにするのだが、ハンバーグやエビフライの載った「ミックス定食」にした。

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こちらは「定番」のエビインドカレー

お店を後にし、すぐに通り過ぎた「上湯之原」というバス停などはなぜここに停留所があるのか不思議な程何もない、と思っていたら新宮発八木行の第3便がやってきたので、慌ててバス停を離れた。

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秘境駅」ならぬ「秘境のバス停」で、今ここで回収される訳にはいかない。

もう少し、歩き旅4日目の距離を伸ばしたい。

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今日は十津川村南部まで距離を稼いで、奈良交通バスの最終便(当時)に乗って五條から自宅の津に帰る予定だ。

歩き始めてから4時間、朝バスで出発した役場前の橋に戻って来たが、山の上の方にはまだ雪が残っていた。

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十津川村役場付近の橋から 正面に湯泉地温泉

ここからは、道路の改良が進んで、十津川村役場から十津川温泉までの大半がバイパスとトンネルでつながっている。

バス路線をたどるのが目的なので、バイパスから民家のある旧道へと分かれていく。

ずいぶん色の褪せた赤色のトラス橋が目に付く。

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十津川村小原地区

強度と造形の美しさを兼ね備えた鉄骨製の橋。

いずれは架け替えられていくのだろう。

十津川街道は基本、十津川の流れに沿う。

新しく出来たバイパスはトンネルを潜り、川を高い橋梁で渡る、の繰り返しだから、吊り橋に立ち寄ったりする以外は十津川をじっと眺めることが少ないかもしれない。

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旧道を行く事で、より本来の十津川村の風景に近づくような気がする。

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途中で郵便局のバイクとしかすれ違わなかった区間では道路に長い落石覆いが被せてあった。

確かにあの場所で大型車同士のすれ違いは無理だ。

以前はどうしていたのだろう。

水の流れで削られた花崗岩と桜のコントラストは本当に素晴らしかった。

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落石で通行止めとなっていてバスもバイパスに迂回している、約2キロのトンネルを25分で通過すると、橋梁そして2019年9月に供用開始となった「十津川温泉北トンネル」につながるのだが、「生活バス」の路線通りに歩いていく。

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十津川村折立(おりたち)地区 歩道ゾーンが広い(嬉)

2日間の疲れから、どこかのバス停で座り込んで十津川温泉を出発するバスを待とうかという思いも頭をかすめたが、バス停ごとに発車時間と時計をにらめっこしながら、何とか始発のバスターミナルまで歩いて行った。

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奈良県立十津川高校

十津川高校のグラウンドを見下ろし、雲の間から夕日の差す十津川と山々の風景を見て歩いた。

桜と常緑樹、そして深い“十津川ブルー”。

熊野山岳信仰の聖地・玉置山(たまきさん)への道筋もあった。

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十津川村平谷(ひらだに)地区 奥に吊り橋13選「猿飼橋」がみえる

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歩き旅の4日目に首尾よく十津川温泉に到着したのに温泉に入りもせず(笑)、ここから3時間半かけて奈良交通バスで五條方面(自宅)に戻った。

代わりに十津川温泉の写真を1枚。

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源泉かけ流しの湯にゆっくり浸かった気分になって欲しい。

2日間歩いてきた道のりを帰りのバスの車窓から眺める。

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奈良交通「十津川線」(当時)の車窓から

途中でバス同士のすれ違いがあり、お互いが運転席の窓を開けて申し送りをしている。

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雪道の状況を伝えていたのかもしれない。

きのうの出発点・天辻峠をバスが通過する頃には辺りはもう暗くなっていた。

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3日目のスタート地点 天辻峠付近 露出オートで撮影

雪を被った針葉樹が幻想的だった。

2週間後に戻って来れれば、十津川街道もソメイヨシノの景色が見られるだろう。

(第11回に続く)

~“日本一のバス路線” 大和八木~新宮 167キロ+αを歩く~その⑪ 十津川から熊野川へ 編 - kotarosandayoneの日記 (hatenablog.com)

2021年8月8日 更新