kotarosandayoneの日記

街道歩きを中心に、風景などをアップしています

~“日本一のバス路線” 大和八木~新宮 167キロ+αを歩く~その⑫ 熊野本宮大社~川の熊野古道 編

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日本一のバス路線「八木新宮線」 奈良交通のHPより

2020年4月4日 晴れ 時々曇り

「日本一のバス路線」歩き旅 のべ5日目。

熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)エリアに入ってきた。

得意の?シンプルなイラストで本宮と新宮の位置関係を見ていただく。

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ともすれば勘違いされやすいのだが「元宮」の本宮に対して「新しい宮」の新宮、ではなく、新宮(しんぐう)と呼ばれる熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)の「元宮」は新宮市内に別にある(神倉神社)

【リンク】

神倉神社|新宮市観光協会 (shinguu.jp)

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熊野速玉大社(新宮市) 主祭神イザナギノミコト

本宮エリアと新宮エリアを仕事や用事で行き来する人も多く、ひとつの生活圏と言っても差し支えないのだが、新宮市と旧本宮町が合併しなかったのはそのあたりの歴史的背景もあると思う。「新宮市本宮町」とはならずに、熊野古道中辺路つながりで「田辺市本宮町」となった。

しかし地図を見ると位置関係が分かるが、峠を越えて旧田辺市と旧本宮町を毎日行き来している人はあまりいないだろう。バスの運転手さんとか(想像)。

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熊野本宮大社田辺市本宮町) 主祭神スサノオノミコト

熊野速玉大社熊野本宮大社主祭神は、父親(新宮)と息子(本宮)の関係にあるとされる。神様同士が親子なのだから、地域住民同士の結びつきも強いはずだ。

母親は、那智の滝のある熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)の主祭神である。

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熊野古道中辺路(なかへち)の発心門王子(ほっしんもんおうじ)※2019年1月撮影

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ユネスコ無形文化遺産「熊野参詣道中辺路」のモニュメントは発心門王子にある

世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道のコアゾーンである熊野三山熊野古道熊野川で結ばれていて、実際に自分の足で歩く事で、熊野詣(もうで)の歴史を今に体験できるようになっている。

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湯の峰温泉ですれ違う奈良交通「八木新宮線」新宮行と龍神バス・発心門王子行き

日本一のバス」は本宮エリアの観光の拠点を結び、他社の路線バスや観光バスとあいさつを交わしながら、熊野川を下って新宮に至る(下り線の場合)。

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外国人観光客らで賑わう熊野本宮館(※2018年10月)

施設案内|世界遺産 熊野本宮館 (tanabe.lg.jp)

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熊野本宮館の展示より

熊野本宮大社の「元の宮」はかつて熊野川砂州に建てられていたのだが、1889年(明治22)8月に紀伊半島一円を襲った大水害で社殿が流され、向かいの山の上に「お引越し」した。

158段の階段を上って参拝する時間も今回ばかりは惜しく、本宮の元宮である「大斎原(おおゆのはら)」を参拝する。

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「日本一」の大きさの鳥居は満開の桜のドレスをまとって神々しさを増していた。

風に吹かれて一面に花びらが舞うと、女性のグループ客から思わず歓声が上がった。

そのうちのお一人が生きてて良かった(^^♪」とおっしゃるのを聞き逃さなかった。

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私も大和八木から本宮町までずっと歩いてきて、あらためて神様からご褒美を頂いたような気がした。ここまでの道中安全にも感謝する。 

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熊野本宮大社と「小栗判官おぐりはんがん)」復活伝説の残る湯の峰(ゆのみね)温泉は「大日越(だいにちごえ)」という熊野古道メインルートの中でも指折りの険しい上り坂で結ばれているが、バスのルートは古道を大きく回り込んでいく。 

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峠の途中には 小栗判官が乗せられた荷車の塚もある

標高差は150メートルほどだが、距離も長く、ひと汗かいて峠を越え、湯の峰温泉に降りて来た。

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木々の新芽が奇麗すぎてヤバイよ!(出川哲朗さん風)

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世界遺産「つぼ湯」杖はトレッキングポール 長距離はこれに限ります♬

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湯の峰温泉バス停前のお店を訪れたのはイケメンのおふたり。

小栗判官のようにここで「充電」出来たのかな。

イカのヘルメットの写真を見ながらお店でビール(燃料)を飲んで、お店の外に出たら、何とここで八木新宮線バス「第1便」のお出ましだ!このタイミングで遭遇する?

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ヤバイよ!

時計を見たら14時33分。定刻通り過ぎてヤバかった(もう、よい)。

 

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赤いルートが「日本一のバス」八木新宮線の路線

さらにひと山超えて、川湯温泉に向かう。

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湯の峰温泉川湯温泉

冬の風物詩「仙人風呂」(12月~2月開設)の目の前にはペンションがあって、これまで何度お世話になった事か。(※計6回)

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川湯温泉 冬の仙人風呂(※2021年1月撮影)と「ペンションあしたの森」(左)

けさ十津川温泉を出発してから川湯温泉までに7時間半経過している。

リュックのおにぎりをどこで頬張ったのかも疲れて覚えていない。

本宮町請川(うけがわ)というところで、熊野本宮と那智大社を結ぶ熊野古道中辺路はその名も険しい「大雲取越」「小雲取越」に差し掛かるのだが、バス路線はもうひとつの「川の熊野古道」沿いに国道168号線を新宮に下っていく。  

自分を熊野の神々の子孫だと思い込んで?いる歴代の上皇達や、その側近の者たちは川船で熊野川を下って新宮(熊野速玉大社)に入る。

私がこの原稿を書いている820年前の1201年、後鳥羽上皇熊野行幸随行した藤原定家(ふじわらのていか)の「熊野行幸記(くまのごこうき)」は、1967年(私:中村の生まれた年の翌年:くどい?)には国宝に指定されている。

私の歩き旅日記が完成したら、新古今和歌集の選者である定家に空の上からぜひ読み通していただきたい。(注:あと2話で完結する)

定家の「熊野行幸記」については、「道の駅奥熊野古道ほんぐう」に分かりやすく展示されている。道の駅はバイパスからは少し離れてしまったので、調べて行ってみて欲しい。熊野本宮大社よりも北にある。

世界遺産熊野古道 和歌山 熊野本宮 道の駅 「奥熊野古道ほんぐう」 (ja-mikumano.or.jp)

(第13話に続く)

~“日本一のバス路線” 大和八木~新宮 167キロ+αを歩く~その⑬ 闇で八木新宮線のバスを捕まえる 編 - kotarosandayoneの日記 (hatenablog.com)

2021年8月16日 更新