目的地に到着するのが目的なら、それは旅ではなく「用事」。
東海道中膝栗毛は「東海道歩き旅」の創作日記で、江戸から伊勢神宮(京都大坂はその続き)を目指す旅の途中に弥次郎兵衛さんと喜多八さんがいろいろな人と出会い、いろいろなトラブルに巻き込まれ、時にはオイシイ思いをするというお話です。
今回のテーマは旅の醍醐味である「移動そのもの」を楽しんでもらおうと、名古屋と和歌山県の那智勝浦町を結ぶ特急「ワイドビュー南紀」について「旅の途中に撮りだめた写真」と共に紹介したいと思います。
なぜ名古屋発の特急が紀伊勝浦駅(那智勝浦町)終着になったかというと長くなるのですが、国内旅行ブームの昭和(30年代)に(南紀)勝浦温泉♨が新婚旅行の「目的地」に選ばれた歴史も関係していると思います。かつては「ブルートレイン」の愛称で親しまれた寝台特急「紀伊」も東京駅発・紀伊勝浦駅行きでした。
こちらはFBのお友達が撮影した「ワイドビュー南紀」の前身、キハ82系です。写真をよく見ると、列車の頭の上がスース―している、というか何かが足らない!?
こちらは群馬県~長野県の信越本線で活躍した電気機関車EF63型です。こちらには列車の上に大きなものが載っていますね。そう、パンタグラフです。こちらは架線からパンタグラフで電気を取り入れ、モーターを回して走行し、客車等を引っ張ります。
一方こちらはディーゼル機関車。道路を走るバスやトラックと同じディーゼルエンジンを積み、燃料も自分で積んで走行し、貨車や客車などを引っ張ります。「パンタグラフで電気を取らなくても走れる」のは蒸気機関車も同じ。
石炭と水を燃料に煙を吐きながら走る蒸気機関車に比べて、ディーゼル機関車は熱効率が良く、蒸気機関車にとって代わりました。
「ワイドビュー南紀」は電車のような走行用モーターの代わりにディーゼル機関を持ち、お客を乗せて走る列車です。「気動車」または「ディーゼルカー」と呼んでいます。ディーゼルカーは町中を走る市電の様に運転席さえあれば一両から走れます。下の写真は地元有志によるJR名松線のポスター。
電化路線(電車)と違い、電柱や架線がないのでスッキリした写真がとれます。下の写真、三岐鉄道北勢線(三重県桑名市~いなべ市)の写真と比べてください。
「ワイドビュー南紀」の車内を紹介しましょう。津駅に「南紀」1号紀伊勝浦行きが入ってきました。
ワイドビュー南紀・ひだ として運用された「キハ85系」は昭和の終わりも終わりの1988年12月にデビュー。まさに平成の時代を駆け抜けて来ました。現在は「ワイドビュー」の呼称が取れて「南紀」表記となっています。
30年以上経過している車両ですが、シートの形状、というか座り心地は現在でも一級品だと思います。背骨のアーチに座席がフイットします。
紀伊勝浦方面の先頭車両には、車いすの人と一緒に座れる席が用意されています。
写真では分かりませんが、一般席では通路より約20センチ、デッキが上がっていてひじ掛けのところまで窓があり、「ワイドビュー」の称号(おおげさ)を欲しいままにしていました。一枚上の写真の、優先席のひじかけと窓べりの高さと比較してください。
では旅のお供にこんなものを用意しました。
「津ぎょうざ」?? 嘘です。大変失礼しました。こちらです!
いつも津駅からのスタートですいません。その名も「ワイドな車窓を楽しむ地図」です。ぜひ、マイコンピュータなどにコピー移動して印刷し、持ち歩いていただきたい。
次回からはこの地図とともに、和歌山県新宮市まで(紀伊勝浦まで行かへんのかい)の車窓からの旅を紹介します。
引退前の「ワイドビュー南紀」に乗って南紀を旅しよう② - kotarosandayoneの日記 (hatenablog.com)
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