kotarosandayoneの日記

街道歩きを中心に、風景などをアップしています

「香良洲に詣(まい)らぬは片参宮」~伊勢街道から香良洲(からす)道へ~ 松阪市・津市

タイトルの通りです(笑)。伊勢神宮(内宮)にまつられている神様は天照大神(あまてらすおおみかみ)といって神話時代より日本の国を守護する神として、全国からの参拝客がたえません。

「右 さんぐう道  左 からす道」一級河川雲出川(くもずがわ)の三角州の頂点に建てられているこの道しるべは一見、新しそうですが、①江戸時代(後期)のものである ②もともとあったところから何と6キロも南に移設されたのだそうです。

だからといって「ブラタモリ」で謎を解き明かすほどの謎はありません(笑)。

江戸方面からは桑名を起点に、京方面からは関(亀山市)を起点に、伊勢参宮街道を何度も歩いて(自転車も含む)きたのですが、「からす道」はこれまで思案しつつも、その道筋をたどった事がありませんでした。

こちらの一見、橋には見えない小さな橋が思案橋三重県津市垂水)向かって右に進んで伊勢神宮を目指そうか、それとも左に向かい香良洲神社(からすじんじゃ)に寄り道(まさに)してから参宮しようかと、ここで皆さん思案したというのです。

ではいつものようにスタート地点までは鉄道を使って移動🚅します。

JR東海の駅のポスター テーマは「ずらし旅」。東京タワーもエレベーターに並ばず、階段で展望台へ行けるよ~などと「ずらし」のヒントを与えてくれます。

ワタシにはご心配なく、人生そのものが「ずらし旅」。この日記は「こたろーさんの人生ずらし旅」。とでもサブタイトルを付けておきましょうか。

「からす道」を訪ねるには手前のJR東海を利用します。特に関東の人にはピンとこないと思いますが、46都道府県(沖縄県を除く)のうちで、JRが私鉄に対して一番「分が悪い」のは三重県なのです。その理由についてはここでは詳しく述べませんが、伊勢参宮の交通の歴史に大いに関係があります。

JR普通電車の窓からのぞいた近鉄(きんてつ)特急

三重県内で「ずらし旅」を満喫したければ、とりあえずJR(東海)を利用してください。列車のダイヤにはご注意(特に三重県南部の東紀州地域)。

JR紀勢線 六軒(ろっけん)駅から歩き旅をスタート。六軒は「伊勢参宮街道」から「初瀬(長谷)街道」「奈良街道」「からす道」が分岐する地点で、私も何度かここを歩き旅の出発点にしています。駅前は閑静そのもの。通学の自転車の並びが面白い。

六軒駅から徒歩5分ほどで伊勢参宮街道に突き当たります。こちらが北方向。

こちらが伊勢方向。三重県の発行する「みえ歴史街道ウォーキングマップ」(刊行物は非売品・HPからPDFで取り出せる)の記述によると、、

【明治の終わりころ、鉄道の参宮線(今のJR)が開通しても、白装束姿の旅人は六軒駅で降り、この曲がり角(道しるべの所)を通って伊勢まで参宮したという】

「右 松阪 及 山田(※伊勢神宮外宮のあたり)」「左 津 及 香良洲」

大正3年の建立です(今から108年前)※2022年現在

下がかつての伊勢参宮街道、上の高架が現代の参宮街道(国道23号中勢バイパス)松浦武四郎記念館の看板が電柱にあります。松浦武四郎は特に北海道ではクラーク博士に負けないくらい?リスペクトされているので調べて下さい。

もはや民家のブロック塀と一体化している道しるべの所から「からす道」に入ります。この歩き旅では「お伊勢参りに行った帰りに香良洲神社に寄る」道をたどります。

国道の下をくぐって、東に進みます。

ここで「からす道」は90度折れ、国道23号を挟んで伊勢参宮街道と並行に北に向かいます。

刈り取られるのを待つ、麦畑。からす道から東方面。

何だか秋の雲を見るようです。からす道から西方面。

天台真盛宗(てんだいしんせいしゅう)のお寺、松養寺。

続いてはあの「北斗七星」を神格化した「北斗七星社」を祀る八雲神社。西洋ではオリオン座など、天体の惑星や星座を神に例えますが、東洋でもあったとは。

江戸前期の石鳥居があります。「元禄二年」と彫られているらしいのですが風化していて読みにくいです。

麦が刈り取られているこの辺りは「★星合の浜★」と言われ、海岸が迫っていたという事です。

右から「耕地整理」と読めますね。記念碑などによくみられる書体ですが何書体というのかな?

「からす道」は雲出川の堤防にさしかかりました。古くは渡し舟で渡ったのでしょう。この辺りは平坦で北は鈴鹿山脈から南は「朝熊参らねば片参り(こちらも)」と言われた朝熊山(あさまやま)まで四方八方(東に山はないけど)の山が見渡せます。

西に見える山は美杉と太郎生(たろう)の境の山、尼ヶ岳(伊賀富士)だとおもうのだけれど、自信がありません。

「香良洲(からす)大橋」は雲出川の最も下流にかかる橋です。

雲津川の上流西側。経ヶ峰(きょうがみね)や布引山地(青山高原)が見えます。

こちらは下流側。先ほど書いた「朝熊山」が右奥に見えます。

香良洲町(現在は津市)に入りました。ここから先の地図の通り、香良洲神社まで往復2.6キロを歩きます。ちょっとした距離です。

香良洲の町に入ってきました。勇ましい消防団募集のポスター。

埋もれすぎて道しるべそのものを探したぞ。指差しの方向に行けばよいのね。

「参らぬは片参宮」と呼ばれ、年中参拝者の絶えなかった【香良洲神社】。天照大神の妹の神を祀っています。

スマホなら拡大できます。ガラス越しで見にくいのですが

一瞬ドキッとしましたが、つくりものの「神馬(しんめ)」でした。この馬屋は「絵馬殿」と呼ばれるそうです。「つくりもの」ではなく「馬の絵」なんですな。

香良洲神社は伊勢神宮と同じように二〇年に一度の式年遷座遷宮を行います。

こちらが前回の式年遷座(2014年)まで神様がおさまっていた「旧社地」。

いつもの「世界最大の電子辞書」によると、「20年に一度」とは言いながら前回の遷座は1885年(明治18年)以来なんと189年ぶりの行事だったらしく、しかもかかる費用は伊勢神宮とは違って氏子負担であるため、上の写真の拝殿については新築とせず、移築としたようです。

伊勢神宮だったら摂社末社までの125全て新築移転の費用が国?から出されるはずなんですが、これまで伊勢参宮の信仰を集めて来た神社にしては何かいきさつがあったのでしょうか?

伊勢神宮とは異なり、板の塀の隙間から御正殿の姿を直接拝むことが出来ました。香良洲大橋から片道1.3キロ歩いてきてよかった。

拝殿前から振り返ると、神宮遥拝所(ようはいじょ)がありました。

「小香良洲社」(こがらすしゃ)と呼ばれるそうですが、香良洲神社の主祭神である「稚日女命」(わかひるめのみこと)の「荒御魂」(あらみたま)を祀っています。

「荒御魂」とはなんぞや? 私は普段の神様が怒りのパワーを発揮(発動)した時に変身する神様と解釈しています。ですので「こたろー旅行社」で私が参拝のお客様を案内するとすると以下の様になりますー

みなさん、漫画のドラゴンボールはご存じですか? 伊勢神宮内宮には第一位の別宮「荒祭宮(あらまつりのみや)」が、外宮には同じく第一位の別宮「多賀宮」(たかのみや)があります。

内宮の神様・天照大神が仮にドラゴンボールの「孫悟空」だとすると(孫悟空は男性)、荒祭宮には孫悟空の「スーパーサイヤ人が祀られています。

同じく外宮の神様が孫悟空の最大のライバルであり守護者である「ベジータ」だとすると多賀宮にはベジータの「スーパーサイヤ人が祀られています。

「おっす!オラ、外宮」と野沢雅子さんに言わせたかった~(上の仮説では内宮でした)

皆さんも新しく物事を始めたい時、つまり「発動したい時」は伊勢神宮では内宮の「荒祭宮」、外宮では「多賀宮」。ここ香良洲神社では並列している「小香良洲社」に参ると良いかもしれません。

今回は極めて長い日記になっています。香良洲神社で「発動」したところで、伊勢参宮街道との分岐点(合流点)である「思案橋」まで早足で参ります。

令和4年3月に完成したばかりの「香良洲橋」。

伊勢参宮街道沿いには「高茶屋神社」がありましたが、からす道には「雲出神社」があります。

こちらのお寺では六地蔵どうしが背中合わせになっていました。

「からす道」は国道23号に近づいて来ました。

イオン津南SS 免許のない学生さん達もJR高茶屋駅から歩いて来るショッピングセンターです。

国道23号を再び渡ったところ。車の列は南、松阪伊勢方面向き。

最初に説明した「思案橋」にやって来ました。左から伊勢参宮街道が合流します。

】が掘られた大変意匠を凝らした石橋です。

一番最初に紹介した津市香良洲町の道しるべは、かつて津市垂水の思案橋のたもとにあったそうです。なるほど現在は橋のみで、分岐点だとは気づかなかった訳ですね。

JR六軒駅から近鉄江戸橋駅まで、香良洲神社の往復を合わせて約20キロの道のりでした。途中風が止まって暑くなったので雨傘を日傘代わりに使いましたが、再び東風が吹いてきて涼しく、津の最高気温は26度に達しませんでした。

【蛇足】

「からす道」「伊勢参宮街道」の道沿いにある店でUSBポートで充電できるロードバイクテールランプと、多目的に使用できる夏用の手袋、翌日のおかずのコロッケとカルビを買いました。街道歩きのついでに欲しかった買い物まで出来て良かったです。長い日記を読んで頂き、お疲れさまでした。

2022年6月4日(土)☀晴れ

日記の最終更新・・翌日5日。

 

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