kotarosandayoneの日記

街道歩きを中心に、風景などをアップしています

伊勢本街道~奈良・大阪 その② 暗越(くらがりごえ)奈良街道

大坂(大阪)と伊勢神宮を結ぶ「伊勢本街道」経由のルート

タイトルでは、伊勢方面から街道を西に歩いて大阪へGO、の感じですが、今回は大阪を出発して生駒山地を越える、歩いて1日がかりのコースを紹介します。

旧街道を示す、歩道のデザイン

往時の「街道ウォーカー」も大阪から伊勢までの「参拝客」に加えて、大阪と奈良を行き来する「参勤(公用)客」が多かったと思います。問題はそのルートで、現代の近鉄奈良線険しい生駒山地を大きく迂回しつつトンネルを潜って奈良に向かうのですが、街道は大阪(難波津)からまっすぐ東へ、奈良のみやこを目指して

赤い太い線が「暗越奈良街道」のルート 生駒山

生駒山地を直接アタック(笑)するルートが築かれました。それが暗越(くらがりごえ)奈良街道です。

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2023年5月28日(日)☀晴れ 

伊勢本街道~初瀬街道~上街道長谷寺⇒天理)歩きの続きで、高校の同級生O氏と2人で出発。三重県の津から大阪の鶴橋まで近鉄アーバンライナーで快適に移動します。

近鉄特急」の公式HPより アーバンライナーDXシート

近鉄特急というと2020年3月にデビューした「ひのとり」が有名ですが、「景気の良かった時代」に設計された「アーバンライナー」のデラックスシートの方が私は落ち着きます。以上頼まれてもいないのに近鉄電車のPRでした。

JR大阪環状線との乗り継ぎ駅である鶴橋駅に到着。環状線内回り(反時計回り)にひと駅で暗越奈良街道の出発地点である玉造(たまつくり)駅に着きます。江戸時代の伊勢への起点となっています。

朝の9時10分過ぎ。JR大阪環状線のガード下から東(手前方向)に向かいます。

新しいが大きな石碑があります(指で拡大可能)

松尾芭蕉旅の最後に越えた峠が「暗越」です

「胸突の  坂をあしらう  手毬花」 こたろー

路地のような狭い道を街道は行きます

玉造駅をスタートして40分位で、街道途中に熊野大神宮」があります。往時の旅人よろしく、今回も旅の無事を祈りましょう。

熊野の神様「イザナギ」や「スサノオ」を祀ります。広くはない境内は特別な雰囲気。朝からご近所の方々が代わる代わるお参りされていました。

現在は「町内の氏神様」といった感じですが、大阪市のHPによると江戸時代以降、大阪城代の就任と領内巡視の時は必ず参拝するという格式の高い神社だったようです。

天照大御神も祀られています

子ども 大人 恋みくじ 引きませんでした(💦)

伊勢神宮の本殿を模した石灯籠のつくり 各地で見かけます ここで地下鉄も通る通りに合流するもしばらく歩いて再び旧道へ。

大阪市東成区と東大阪市の境界です。ここで祠(ほこら)を発見。

善光寺如来安置」と彫られているー

最盛期に一日数万人が行き交う人々を見つめてきたり、地元の人にひっそりと見守られたり。様々なお地蔵様に出会えるのが歩きのひとつの楽しみです。

近鉄布施(ふせ)駅へつながるアーケードを過ぎると、また立派な祠がありました。

清水地蔵 との説明書きがありました

ものづくりの町。東大阪市2022年度後期の朝ドラ「舞いあがれ!」ではここ東大阪を舞台に町工場の運営に取りくむ主人公とその家族の姿が描かれました。

為替レートや海外市場の影響などを受け止める形となる町工場。その都度みんなでアイデアを絞り出し、励まし合いながら物語は進んでいきました。

旧街道と東大阪の工場(※ドラマとは関係ありません)

大阪・兵庫でおなじみのスーパーマーケット

東大阪市指定文化財 植田家住宅

暗越奈良街道沿いにあって本陣札を掲げ、江戸時代に大名らの一行が休憩していったと考えられています。案内によると現在もご家族が居住しながら文化財を保存しているとの事で、一般公開されていません。

再開発などで引き上げられた道しるべを集めた小公園です。面白いのは「瓢箪山(ひょうたんやま)」です。指で拡大してみてください。

 

ハイ、拍手👍  どうして瓢箪を漢字ではなくて「絵」にしたのか? 

「漢字の画数が多くて、掘るのが大変であるばかりでなく、旅人は地名を耳で聞いたことがあっても読めない人がいるから~」(あくまでワタクシの推定です)

誰か本当の事が分かる方教えてください。

だんだん生駒山地が近づいて来ました。この先の大型スーパーがいつしか運送会社の配送センターに変わっていた。

東大阪市のシンボルマーク、花園ラグビー場

自分は最近まで近鉄花園ラグビー場と記憶していたのだが、2015年から市が保有していて東大阪市花園ラグビー場なっていました。全国高校ラグビー大会の会場であり、『めざせ!花園』は高校ラガーマンの合言葉です。

東大阪市マスコットキャラクター「トライくん」

迫りくる「生駒の壁」にトライするまであと約1時間あまり・・

峠道を控えた「松原宿」の案内がありました。宿場の真ん中で街道が北向きから東向きに90度曲がっている所で比較的新しい道しるべがありました。(追記:1848年建立)

環状線を歩道橋で渡り、枚岡へ

「東へすぐなら道 いせ道」

すぐというのは本来は「まっすぐ」の意味で、漢字で書くと「直ぐ」となりますね。現在は「まもなく」「もうすぐ」の様に使われますが。

観世音菩薩が掘られた道標もすごいが、となりの原型を留めていない?道標はもっとすごい。街道歩きの醍醐味?

子安地蔵尊がありました。唇には紅をさし、大変見事な姿の石仏様。お堂の前では、

近所の方からのおふるまいです。頂いた跡がある。ボードの黄色い文字を消して〇〇⇒夕方 に書き直されている。夕方まで待ちたいけれど、待てない。🍒食べたかったな。

生駒山地の麓、枚岡(ひらおか)に入ります。ここから少しづつ標高を上げていきます。地蔵尊の前で標高44mでした。国土地理院web調べ)

ここから直接生駒山地を越える前に、河内国一之宮」の枚岡神社にお参りします。

近鉄奈良線と奥に大阪のまち。線路も右に登って行ってます。(⇒生駒方面)

枚岡神社へは近鉄電車が便利。枚岡駅出口からまっすぐ石段が伸びています。

私が大阪住まいだったら、毎月電車で来て運動がてら参りに来るな~と思えるほど至極便利。お正月や大祭の時は激混みでしょうね。

二の鳥居

この日は第47回東大阪市民チャレンジ登山大会」を開催していました。テントは受付&完走証明書?のブースでした。

ここでの神の使いは鹿です。枚岡神社が奈良の春日大社の「元春日」とされているのと関係があるのでしょうか。

なでました。

期せずして「女子一人旅」のコピーに使ってもらえそうな写真が撮れていました。

ご本人様しか分からないのでどうか掲載を許してください m(__)m。

池の中に本殿があり、四柱の神様を祀っています

本殿の右奥に鎮まる天照大神(若宮)

さて、枚岡神社の境内が生駒山登山の出発点の一部になっているのですが、「らくらく登山道」などがある中で、、

今から歩くのは赤い太い線生駒山地を東西に横断する国道コース。では、一緒に歩いているつもりで以下、ご覧ください (^^)

国道といってもその傾斜たるや酷道です。この登りが1時間以上続きます。

サイン、コサイン、タンジェント。懐かしい響きです。

どうして持ち出したかというと、枚岡神社から生駒山地稜線の暗峠(くらがりとうげ)まで「何メートルの距離の間に、何メートル標高があがるのか?」と気になったからです。WEBマップである麓から峠までの地点同士を調べてみると、

2300メートルの距離で、400メートル上がる事が分かりました。これはサインの計算だ!

=2300メートル =400メートルだから、∠A(Aの角度)を求めるのに sinθ=400/2300・・・約10度でした。

【斜度10度の坂を1時間以上連続で登っている所を想像してください!!】

病身だったという松尾芭蕉でなくても力尽きそうだ。。

お茶🍵をお供えしている場所がありました。どうやら上中央はお酒🍶の様です。飲み物はしっかり持参していました。

国道の角度をよく見てください 前を行くのはO氏

カーナビに頼っていると、このような道に入り込むことがあります。上から下りて来た車のブレーキが焦げ臭かったので、思わず同級生と顔を見合わせました。エンジンブレーキ、使っていないのかしら。オートマで「D」に入れたままの長い下りは要注意です。このような坂では「2」または「L」に入れてブレーキで下りてください。

お不動さんのある水場 旅人の喉を潤した事でしょう

両手に杖を突いています。長い上り下りではポールウォーキングが有効のようです。

踏み出した足が地面から反作用を受けて発生する後ろ向きの力を後ろ向きにポールを突いた反作用の前向きのチカラで軽減する感じですね(下の図)

今回はなかなかアカデミックですね(笑)。角度θによって、傾斜がきついほど後ろ向きにかかる力は大きくなるが、三角関数の計算はやめておきます。急な傾斜ではそもそも全体重が斜面にかかるかどうかも自信がないので。

どれだけ計算してもしんどいのはしんどい。

一番傾斜のきつかったところです。ここはまだすれ違える幅があるから良いけど。大半の所ではすれ違えません。

【キーワード】国道308号 暗峠を車で走るのは遠慮しましょう。■

放射状に延びる大きな木 峠に佇むご神木のようでした

峠道を4分の3近く登ったところで「弘法の水」がありました。

説明版に詳しいので、スマホの人は拡大して下さい

バケツに注がれている水をくむのかと思いましたが、ちょっと今回は遠慮しました。

ようやく峠に近づいて来ました 繰り返しますが国道です

右 矢田山二里 矢田丘陵の事ですね

暗峠に着きました。70分間登りっぱなしでした。へとへとです。

大阪府奈良県の県境となっています。江戸後期には20軒くらいの峠の茶屋があったそうです。現在は週末営業の茶屋が1軒。また、峠のすぐ下にカフェが営業されています。

南北の稜線を伝う信貴生駒スカイライン(奥)を車で走ってきた人やバイク、私たちの様に「大阪から伊勢への道」を歩いてきた人さまざま。私は🍺(おつまみ付き)、同僚はアイスクリーム🍨を頼んだらガラスの器に入って出て来て、大変満足しました。(^^)

【外部リンク】峠の茶屋 すえひろ - Google マップ

【外部リンク】友遊由 - Google マップ

峠からの下り(矢田丘陵側)は東大阪側と比べてやや緩やかだというものの、最初はこんな風景が広がります。

手前の盆地が南生駒、その奥が矢田丘陵、その奥が奈良盆地です。この先奈良に行くには矢田丘陵を越えていきます。

棚田も広がっていました

暗峠から4キロと少し下って、南生駒駅に着きました。この日はJR大阪環状線玉造駅のスタートから近鉄南生駒駅まで、7時間半の道のりでした。

近鉄南生駒駅から奈良線大阪線経由で帰りました

続きはひとつ前の歩きの天理駅に戻って、奈良の興福寺を経由して南生駒に歩いて、「伊勢街道」は大阪から奈良の長谷寺までつながる予定です。

前回 長谷寺~天理 今回 大阪~南生駒 次回 南生駒~奈良~天理

電車の運行の関係で、生駒から西大寺に戻らず大阪上本町駅まで戻ったのですが、ホームで一瞬出会った女性が「歌が出来るほど」美人でした。近用の眼鏡をかけていたので実はあまりハッキリとは見えなかったのですが。

またどこかで機会があれば歌詞を披露します。(何のこっちゃい。)

2023年5月28日(日)☀晴れ

暗越奈良街道歩き 玉造駅(9時10分)~東大阪市暗峠南生駒駅(16時40分)

③に続きます。 

伊勢本街道~奈良・大阪 その③ 上街道~ならまち~奈良街道を歩く - kotarosandayoneの日記 (hatenablog.com)

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